大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(あ)3176 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人島内龍起の上告趣意は末尾添付のとおりである。

趣意第一点について。

所論は単なる刑法違反の主張であつて憲法違反の問題でないから適法な上告理由

とならない。

ただ記録を調査すると原判決書作成日附が昭和二六年三月一八日となつているこ

とは所論のとおりである。しかし、原判決書には昭和二六年五月一六日付浦和地方

裁判所熊谷支部からの回答書を参照した旨の記載がありそして、記録を調べると原

審の第一回公判日は昭和二六年三月二日開廷され、同年四月二〇日に検証が行われ、

同年五月四日第二回公判が開かれ、同日訴訟手続を更新して審理を終結し、裁判所

書記官補は同判決書を同年五月二一日原本領収した旨の記名捺印をしておることが

明かである。従て原審判決書が同年三月一八日に作成されることは到底ありえない

ことである。のみならず三と五との文字はその字劃が極めて類似して居ること等か

ら観ても所論の「三月」は「五月」の誤記であることは明白であると言わねばなら

ない。されば原判決書に所論のような違法があるとはいえないし刑訴四一一条に定

める事由があるとも認められない。

同第二点について。

精神障害の有無は、事実審たる裁判所が諸般の資料により適正に決すべき職権事

項であつて、その判断をするに必ずしも常に専門の知識を有する者の鑑定を要する

ものではなく、これを為さぬからとて憲法三七条一項に反するものでないことは当

裁判所の判例とする処であるから(昭和二三年(れ)第一、〇六六号同年一二月九

日第一小法廷判決参照)所論は採るを得ない。

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なお記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和二八年四月一四日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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